アルコールが筋トレの効率を下げると言われる原因を科学的に解説!

筋トレ後のアルコールはなぜいけないの?

ビール

筋トレで身体を追い込んだ後のビール、冷たいのど越しが最高ですね。

トレーニング後のビールやアルコールをモチベーションに身体づくりに励んでいる人も多いのではないでしょうか?

しかし、アルコールは筋トレの効率を妨げてしまうことをご存知でしょうか?

今回はアルコールが筋トレに与える影響について、科学的な根拠を元に検証します。

また、筋トレの効果を阻害しないアルコールの量についても調べましたので、筋トレもアルコールもどちらも楽しみたい、という人はこの記事を参考にしてみてください。

筋トレ後に筋肉が成長するメカニズム

まず、筋トレで筋肉が肥大する仕組みを確認しましょう。

ダンベルやウェイト等で負荷をしっかりかけて筋トレを行うと、筋繊維には損傷が発生します。身体はこの損傷を修復しようと働くことになりますが、その際には筋肉にかかった負荷に耐えられるように、以前よりも筋繊維が太くなります。

筋トレを継続的に行うと、以前はあがらなかった重さの器具でも扱えるようになっていきますが、これは筋繊維が修復されることで太くなり、以前よりも強度の高い負荷に耐えられるようになったためです。

この修復プロセスをタンパク質合成と呼びますが、筋トレを効率よく行うということはこのタンパク質合成による筋繊維の肥大化を効率化するということになります。

タンパク質合成を効率良く行うためには筋トレを適切なスケジュール、適切な負荷で行うことや筋繊維の修復に使われるタンパク質をプロテイン等を利用して摂取すること、また筋トレで筋肉が分解されることを防ぐためにBCAAを摂ることなどを挙げることができます。

つまり、タンパク質合成が効率よく行われることとタンパク質を分解させないことの両方が必要になります。

しかし、アルコールには筋トレの効果を阻害する働きがあるのです。

アルコールの摂取がタンパク質合成に及ぼす5つの影響

筋トレ=タンパク質合成による筋繊維の肥大化、ということはわかりました。

では、なぜアルコールが筋トレの成果を阻害するのはどのような働きによるのでしょうか?

主な原因として下記の5つが挙げられます。

タンパク質合成を阻害する

筋トレにで効果的に筋肥大させるためには適切な負荷を掛けたトレーニングやタンパク質合成の材料となるタンパク質を摂取することが重要です。

タンパク質の摂取は食事からでもできますが、プロテイン等を活用すると手軽に適切なタイミングでタンパク質を補給することができます。

筋トレによって損傷した筋繊維はタンパク質合成によって修復され、より太くなります。

このタンパク質合成はタンパク質キナーゼ(mTOR)という物質によって促されますが、アルコールはmTORの活動性を阻害する働きをするため、タンパク質合成の効率が低下してしまいます。

せっかく筋トレをしてプロテイン等でタンパク質を補給したとしてもその後にアルコールを飲んでしまうと、mTORが本来の働きをすることができず、タンパク質合成の効果も限定されてしまうわけです。

また、身体にはオートファジーという働きがあります。

これは細胞内に過剰なタンパク質が蓄積されるのを防いだり、タンパク質のリサイクルを行うという働きで、自食作用とも呼ばれます。

実験によるとトレーニング後のアルコール摂取はオートファジーの活動性を変化させ、筋タンパク質の分解作用を高める、という結果が出ています。

つまり、筋トレ後にアルコールを摂取するとタンパク質合成が阻害されるだけではなく、分解も促進されてしまうということになってしまいます。

コルチゾールの増加

筋トレの目的はタンパク質合成を起こし、筋繊維を肥大させることですが、体内には筋肉を分解する作用を持つホルモンがあります。

それはコルチゾールというホルモンですが、コルチゾールは血糖値を正常な値に維持する作用や脂肪の利用を促進する作用、ストレスの緩和作用等を行っており、身体には必須のホルモンですが、その際に筋肉を分解してしまいます。

アルコールを摂取するとコルチゾールの分泌が活性化されます。すると、タンパク質合成とは逆に筋肉の分解という作用が促されてしまうのです。

筋トレの効果をしっかり得ようと考えた場合、コルチゾールによる筋肉の分解を抑制することが必要になりますが、アルコールは筋トレで得たい成果とは逆の作用をするということを考えると、筋トレ後の飲酒は控えた方がいいということになります。

テストステロンの減少

筋トレに大きく関わるホルモンに「テストステロン」があります。

テストステロンとは睾丸で作られる男性ホルモンの一種ですが、簡単に言うと“男らしさ”の元になる働きをするホルモンです。

テストステロンの分泌量が増えると筋トレの成果も出やすくなりますが、通常、テストステロンの分泌量のピークは20代頃で、その後は加齢とともに減少していきます。そのため、歳をとると筋肉が落ちていったりするというわけです。

筋肉を増やしたいためにはテストステロンの分泌量を増やすことが重要になりますが、筋トレを行ったりアルギニンが含まれている食べ物を積極的に摂ることでテストステロンを増やすことができます。

しかし、アルコールを飲むとテストステロンの分泌量は減少することがわかっています。

これではせっかく行った筋トレの成果が活かされないということになってしまいます。

急性アルコール筋症の発生

アルコールを摂取することで筋繊維が破壊されるということはよく知られた事実です。

アルコールによって起こる筋力低下、筋肉痛、筋繊維の部分的な壊死等を急性アルコール筋症といいますが、急性アルコール筋症によって起こった筋繊維の損傷は筋トレ時と違い、アルコールによってタンパク質合成が阻害されていることもあり、損傷の修復が起こりにくく、修復による筋繊維の肥大を期待することができません。

睡眠の質の低下

筋肉が収縮する際に利用されるエネルギーとして酸素と筋グリコーゲンがありますが、ジョギングのような有酸素運動の場合は酸素と筋グリコーゲンがエネルギーとして利用できるのに対し、無酸素運動となる筋トレの場合は筋グリコーゲンだけが使用できるエネルギーになります。

つまり、質の高い筋トレを行うためには筋肉に蓄えられた筋グリコーゲンの量が重要になります。

しかし、睡眠の質が良くないと筋グリコーゲンの量は減少してしまいます。少量のアルコールは鎮静や催眠の作用を発揮しますので、寝つきが良くなることがありますが、アルコールの摂取量が多い場合は夜中にトイレに行きたくなったりして目が覚めてしまうことがあります。その結果、熟睡できず睡眠の質が低下してしまい、筋グリコーゲンの減少を招いてしまいます。

筋トレで最大限の効果を得るためには筋肉をしっかり追い込む、いわゆるオールアウトが必要ですが、筋グリコーゲンの量が減少していると筋肉を収縮させるためのエネルギーが枯渇してしまうため、強度の高いトレーニングを持続することが出来なくなってしまいます。

また、睡眠にはレム睡眠、ノンレム睡眠がありますが、一般的にレム睡眠とノンレム睡眠は周期的に繰り返されていますが、アルコールによって眠りが浅い状態になるとノンレム睡眠にたどり着けず、筋グリコーゲンが減少してしまうだけでなく、ノンレム睡眠時に分泌されるといわれる成長ホルモンの分泌量も少なくなることが考えられます。

筋肉を破壊せずにアルコールを摂取するには?

アルコールが筋トレの効率を低下させてしまう理由を5つ見てきましたが、筋トレにとってアルコールの摂取は良くない効果をもたらすことがわかりました。

結論から言えば筋トレの効果を最大限に得るのであれば、トレーニングを行った日はアルコールを控えることがベストです。

しかし、筋トレでしっかり追い込んだ後に飲むビールやアルコールが格別なのも事実です。

なんとか筋肉を破壊せず、筋トレの成果を妨げない程度にアルコールを楽しむことはできないのでしょうか?

そこで、筋トレ効果を阻害しない程度のアルコールの量について確認しましょう。

欧米で行われた研究では1日あたりのアルコール摂取量が60g以下であれば、毎日嗜んだとしても筋肉の分解を起こさないという結果が得られています。

アルコールの分解能力には個人差がありますが、上記の研究は比較的アルコール分解能力が高い欧米人を対象としている研究です。そのため、アルコール分解能力が低いと言われる日本人の場合、1日あたりの適正なアルコール量は欧米の半分にあたる30g以下と言われています。

これをお酒に換算すると以下のようになります。

  • ビール 大瓶1本
  • ウイスキー ボトルの1/10

理想は筋トレ後はアルコールを控えることですが、飲みたい場合は上記を目安にして適度にアルコールを楽しむようにしてください。

まとめ

筋トレを行うことで筋繊維は損傷を起こします。損傷した筋繊維は修復されるときに以前の付加に耐えられるようにと太くなります。

これをタンパク質合成と言い、筋肥大が起こるメカニズムとなるわけですが、アルコールを摂取するとタンパク質合成が阻害されてしまいます。

またアルコールはタンパク質合成を促す男性ホルモン、テストステロンの分泌量を減少させたり、タンパク質を分解する作用を持つコルチゾールの分泌量を増やす作用もある他、急性アルコール筋症を発生させることで筋繊維を部分的に壊死させてしまいます。

無酸素運動である筋トレのエネルギー源である筋グリコーゲンは睡眠の質が良くないと減少してしまうことになり、負荷をしっかりかけた質の高い筋トレを持続的に行うことが出来なくなることが考えられます。

筋トレの成果をしっかりと得たいのであれば筋トレの後にはアルコールを控えるべきですが、1日に30g以下(ビールなら大瓶1本、ウイスキーならボトルの1/10)であれば筋肉の分解を起こさないという研究結果がありますので、筋トレの後にお酒を飲む場合には1日30g以下を意識して適度に嗜むようにしてください。

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